小さな野鳥の撮影は、はっきり言って風景や人物、花などの一般的な撮影と比べてかなり難しいと思います。その場所に行ってカメラを向けてシャッターを押せば一応はだれにでもそれなりに撮れてしまう写真と違って、その場所に行っても専用の機材や野鳥に対する詳しい知識、そして相当の経験が無いと小さな野鳥を撮るのは難しいと思います。何しろ小さな小さな相手、しかも勝手に動き回るので、やっと見つけてもカメラを向けたらもういないなんて事がしょっちゅうです。いつどこにいるかがほとんど予測がつかないので偶然出会った時が勝負です。相手が気付いて逃げる前にシャッターを押すことが出来ればもうそれだけで大成功・・・。一日中野山を歩き回っても一枚も撮れない日もあれば、撮れても逆光で真っ暗とか、暗過ぎて手振れのひどい写真になっていたり、飛んだあとの小枝しか写っていないなんてことがしょっちゅうです。いわゆる図鑑写真だなんて言われる写真も、実際撮ろうとするとこれが一番難しい・・・野鳥をクッキリハッキリ大きく撮ることが野鳥写真の基本中の基本です。
風景や花、人物などの一般的な写真は先に構図を考え、絞りをどうする、シャッター速度をどのくらい、補正は、フィルターはどれなんて事をじっくり考えてからシャッターを押すことが出来ますが、野鳥の場合はその時間が全くありません。常に自分のいる場所から太陽がどの位置にあるか、背景はどんな状況かで補正を決め、さらにその場の明るさでシャッター速度を決めておき、いざ野鳥が出てきたらシャッターを押しながら(ファインダーを覗きながら)ファインダー内に表示されるISO感度を見ながらシャッター速度と絞り補正を再度微調整する必要があります。構図を考える余裕などあるはずもなく、パソコンに取り込んでから あーじゃないこうじゃないと考えますが、望んだ構図はほとんどの場合難しいのが現状です。また写真としてはNGになってしまう枝被りや影被りは写した後に気付くことが多いです。こんな面倒な、こんな難しい・・・、それが逆に野鳥撮影の魅力なんですね。簡単だったらおそらくとっくに飽きてしまっていたでしょう。野鳥撮影は、この難しい事が最大の魅力なんですね。
風景写真や他の分野から野鳥撮影に入られた方々は背景や周りの状況を重視し、野鳥をその一部分(ポイントまたはお飾り)と捉えるようです。最初から野鳥写真に入った私達は野鳥そのものの生き生きとした表情や動作、仕草などを重視し、よりハッキリ・よりクッキリ・より大きく写すことを主体に考えます。最近の(特に日本だけの)傾向としては前者の方が一般受けが良いと言うことで重宝されているようですが、私は背景や周りの状況は野鳥を引き立てるために最小限考慮するにしても、あくまでも野鳥主体の、野鳥の表情や動きを鮮明に捉えた本来の野鳥写真を今後も撮り続けていきたいと思っています。